* TypoGraphy 特集 * 第 3 部

* タイポグラフィによる美しいテキストレイアウト * 

今後の書体の行末



これからの書体の行く末を考察してみようかと思います。

まず、



そこの書体メーカーさん、
やばいっすよ! 



やばいというか、運命と言うか...

数年前から予兆はあったんですよ。



近年の書体状況


近年 Google が Web 用日本語書体の無償提供を始めました。 


[ 代表的な書体 ]

  源ノ角ゴシック シリーズ 

  源ノ明朝 シリーズ

  Noto Sans シリーズ


ウェイトバリエーション(太さ)も Thin 〜 Black まであり、印刷も可能。

ちなみに源ノ角ゴシックと Noto Sans はほぼ同一書体です。


最近それを追随する形で一部大手企業が CI を印刷物よりも閲覧数の多い

Web を基準に統一させていく流れが起きています。



CI [ コーポレートイメージ ]

ロゴや色、広告などに使用する決められた書体や素材、またそれら使い方。

その企業イメージを導く表現ルールの総称をCIと呼ぶ。



基本 CI で決められたこと以外は禁止されています。 

書体に関して言えば、単書体でまとめている企業が多く、



・書体メーカーの日本語 1 書体 + 欧文 1 書体 



数字や英字を別書体で構成されたフォント ✕ 複数ウェイトが一般的です。

ちなみに書体メーカーの書体を使うためには毎年高額ライセンスが必要です。

ほぼMAC専用で1台に1ライセンス。

ずっと書体メーカーの独擅場でした。


最近は、



・Noto Sans + 欧文 1 書体 



この組み合わせが増えてきています。

なぜこうなったのか。


答えは明白で、Web・印刷物の CI 統一ができる上、MAC、Windows、iOS、Android、など

全プラットフォーム対応していて、書体コストがかからないからです。



メリット大



もちろん今後もその書体メーカーにしかない書体を、

使い続けたいという方はいると思います。 



自分もその一人です



ただあまりにコストが高い。 制作会社はヒーハー言っていると思います。

実はどこぞの Windows をメインに使われている大手さんは、MSゴシックや

メイリオくらいしかない日本語書体のしばりや、CI に準じたいのに、

書体メーカーの書体はコスト的に導入が難しいとかなり不満を言っていました。


もう一回、



・Noto Sans + 欧文 1 書体 



全プラットフォームに対応した、コストのかからないこの書体であれば、

パワポでもワードでも CI に準じた書類が作成でき、今までとは比べものにならないほど

自由にキレイに作成できるととても喜んでいました。

CI に準ずるプレゼンテーション資料なんかも、その書体を持っている制作会社に

いちいち依頼しなくてもほぼノーリメイクで印刷会社で印刷できるんです。

そう、大手さんは制作会社の手間や書体コストを気にしていてくれたんです。



嫌われていますよ、書体メーカーさん



Noto Sansは自分が慕うゴシックMB101と比較してもそんなに遜色なく、


これはこれで美しい。

ちゃんとレイアウトすればビシッとキレイにまとまりますし、

欧文と漢字のバランスもいい。 





今後どうなるのか


かつて「写研」というモリサワより美しい書体を多く持ち、 



書体が美しければDTPへ移行せずとも大丈夫



こう豪語して撃沈したメーカーがあったようです。 

そう、見た目のよさだけでは商売にならないんです。

写研が実証済です。 


最大の防波堤であった印刷需要の激減で、

今後書体メーカーが Web へ移行したとしても、



OS Web 全プラットフォーム

& 印刷  & 美書体 & 無償



こんなの登場されては、生き残るの大変だと思います。 

そうだ、過去の制作物どうするんだ?



書体を変更する流れ



になっています。

作業環境にメーカー書体がなくても変換は可能です。

大手がやり始めた以上止まらないと思います。

制作会社からしても書体コスト0になりますし、印刷会社からしても管理が楽になります。


相手は巨人Google、日本語書体複数構築なんて大したことないと思います。  

まぁ、海外に書体年間ライセンスなんてありませんからね。 

高コストな日本のメーカー書体を借り受ける価値観なんてないでしょう。

では、



どんなプライオリティを持たせたらいいのか



皆目検討も付きません。 

ほんと、書体なくなられては困るんです。

写研のようにならないようがんばっていただきたいです。


次の第 4 部では、美しいテキストレイアウトの作成方法をお話ししています。


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